top of page
  • 執筆者の写真CRZKNY

ザラー監督は最高!新作『ブルータル・ジャスティス』も西部劇スピリット溢れる映画だった....


どうでもいい情報から。

S・クレイグ・ザラー監督の初監督作『トマホーク ガンマンvs食人族』を観た私は、感動しすぎて曲のタイトルでパクったほど!!(MERIDIAN disk3「bone tomahawk」)


『トマホーク ガンマンvs食人族』予告編



数々の凄惨で容赦のない描写から、ついた呼び名が ”暴力の伝道師”



そんな異名を(勝手につけられた)ザラー監督の今のところ最新作である、2018年の作品『Dragged Across Concrete』(原題良過ぎですね)が、目出度く今年日本で『ブルータル・ジャスティス』として先日劇場公開~からの配信開始ということで、遠征帰ってきたタイミングでようやく配信で観れました。


『ブルータル・ジャスティス』予告編


なので今回はザラー監督の魅力についていくつか。



とか書きながら、正直コロナでバタバタで上映も首都圏止まりだったので偶然Twitterで情報見なかったらすっかり忘れてたとこなんですが、、、ほんと気付いてよかった。。。



タイトルで西部劇とは書きましたが、『トマホーク』とは違いこの『ブルータル・ジャスティス』はガッツリ現代が舞台の所謂クライム物です。ただし、映画のコアにあるのは、西部劇マナーとでも呼ぶべきある種の倫理感。



『トマホーク』でも健在だった所謂オフビートな日常会話と唐突なやり過ぎ暴力に、観賞後「頼むからあと二時間くらい長いバージョンを観せてくれ」と懇願したくなるほどでした。


とはいえなんでも長ければ良いというわけでもなく、前作『デンジャラス・プリズン』はあの長さで良いかも。。


『デンジャラス・プリズン』予告編


『デンジャラス・プリズン』は爽快感のベクトルが違うので、あの長さ、あのエンディングで最高だったんですが、今回の『ブルータル・ジャスティス』はもっと登場人物の会話や日常を描いて欲しくなる、端的に魅力にあふれまくる人物描写が、もうなんでしょう、すごいなと。語彙力ですね。。。



本作の長さは二時間半程度と、最近では長いほうの映画なんですが(よく考えたらザラー監督作はどれも2時間越え)、全編が洒落ていて、脚本も練られていて、ほんと、濃密な映画体験でした。劇場で観てはないですけど。。仕方ないですよね☺️



急に余談ですが、以前このDKMVでも書いた『Too Old To Die Young』に比べたら「長い映画とは?」という、『ショア』とかが短く感じられる映画人生を送れるようになるので、みんなもいい加減、『Too Old To Die Young』を観ましょう。


話を戻してこの映画、

先ほど洒落てるとは言いましたが、所謂お洒落とかじゃなく、ありえないほどの洗練の果ての最悪描写の連続地獄ツアーとでもいうんでしょうか。



『トマホーク』の、生きたまま逆さ吊り人体真っ二つショーや『デンジャラス・プリズン』の人の頭とは問題etcのように、今回も死ぬほど人体破壊描写はあるんですが、脚本と演出が良すぎるせいで、魅せられちゃうんですよね。酷すぎてかわいそうなんだけど笑っちゃうギャグになってるというか。

特に男性器に対してあまりにも悲惨なギャグ(本当に、酷い)は『トマホーク』同様、今回も絶好調で、思わず監督の前世でのカルマを感じてしまったほどです。

そして流れる音楽も滅茶苦茶に良いんですが、驚くことにザラー監督はこれまでの三作とも監督・脚本・音楽を担当。どれも一流のクオリティ。しかも小説家でもあります。天才かよ。

役者陣も、

名演技と名監督として映画史に名を刻みまくりながら人種差別の豚野郎な実生活暴露によって長らく干され気味だった狂人メル・ギブソン(今回の役柄もだいぶ皮肉でした)、そして個人的に『TRUE DETECTIVE ロサンゼルス』での名演なんだけどなんか違うんだよなーってイメージが『デンジャラス・プリズン』の凄まじい演技で一気に「ぎゃー!!好きだ!!」となるほど好印象に変わったヴィンス・ボーン。この二人が、本当にベストマッチな配役と名演技でした。

脇を固める役者陣も前作『デンジャラス・プリズン』から、ウド・キアー、ジェニファー・カーペンター、ドン・ジョンソンなど完全に信頼おける布陣で、冗談抜きで『ブルータル・ジャスティス』は今までのザラー監督の集大成(まだ3作目ですが)なのはもちろん、近年のクライム物のベストオブベストなんじゃないかなと思ってます。

悪い警官とそれより悪い奴らと善良な一般市民が均等に死に直面していく地獄のオフビート映画。

本作に限らずザラー監督の映画はどれも、一般社会とは違う形ですが強い倫理観を感じさせる作風と、それに裏打ちされたギャグの数々。延々クソほど酷いんですが観終わると何故か納得のオチで、ある種の爽快感が得られます。



多分タランティーノ作品と比較もされがちなのかなと思いながら、似て非なる(よりハードコア)強烈な個性と洗練された世界観。個人的には、これからの作品にも期待せずにはいられない、新作が一番待ち遠しい監督なので、皆様も、機会あれば是非体感してみてください。



あと、「デクスター 警察官は殺人鬼」以降あんま見かけないなーと思ってたところ、ザラー監督の前作『デンジャラス・プリズン』で久々に動いてるところが観れた(そして良い味出してます)ジェニファー・カーペンターが今回も最高だったことは強く伝えたいところです。

各種配信、DVD情報は、各自でチェキ。

bottom of page